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トピックス
緑内障
自覚症状なくても緑内障?!
わが国の失明原因の第1位は、緑内障です。緑内障は、40歳以上の20人に1人の割合で見つかり、決して珍しい病気ではありません。緑内障の原因の多くは、目の体質のようなものと考えて下さい。
目の痛みや視力低下などの自覚症状がないまま、視野(視界)が徐々に欠けていく慢性タイプの緑内障が最も多いので要注意です。緑内障でいったん失った視野は、残念ながら治療によっても元に戻せません。さらに、末期になれば失明の危険性も高まります。従って、早期発見、早期治療が望ましいと言えます。
緑内障には、目の硬さに相当する「眼圧」が正常範囲よりも高いタイプと、正常範囲内のタイプがあり、日本人では後者のタイプ(正常眼圧緑内障)が多いとされています。眼圧測定、眼底検査、視野計測などを行って、総合的に診断されます。
緑内障の進行を抑えるためには、眼圧を下げる治療が主体となります。どの程度眼圧を下げることで、緑内障の進行が防げるかは、患者さんごとに異なってきます。眼圧の値、視野の状態や悪化の有無、年齢など、様々な観点から最良の治療法を探っていきます。眼圧を下げる点眼薬による治療が中心となりますが、手術によって眼圧を下げる治療が必要な場合もあります。
緑内障は、特に日常生活での制約事項はありませんが、緑内障の診断を受けたら放置することなく、信頼できる眼科専門医から適切な治療を受けること、そして定期的な受診を続け、うまくつき合っていくことが大切です。
2012年10月10日 大阪日日新聞に掲載
加齢黄班変性
視野の真ん中見えづらい−日本でも急増中
加齢黄班変性は聞き慣れない病名かもしれませんが、米国では60歳以上の中途失明原因の第1位となっています。従来、欧米人に多い病気といわれてきましたが、高齢化や食生活の欧米化などのためか、日本でも最近急増しています。
この病気にかかると視野の中心部、すなわちはっきり物を見ようとする部分が見えづらくなります。網膜の中心にある「黄班」という部分に、老化などが原因で異常が起こるためです。
加齢黄班変性には委縮型(ドライタイプ)と滲出(しんしゅつ)型(ウェットタイプ)の2つがあります。
委縮型は比較的進行が緩やかで、病変が黄班の中心部に及ばなければ視力障害は重くありません。ただ、滲出型に移行する場合もありますので、眼科検診が必要です。
一方、滲出型は「新生血管」というもろい血管が出現して血液成分が漏れ出たり、出血したりして黄班の機能を損ないます。進行が早く、視力障害が重度となる場合があるので、早期発見が重要です。格子を片目で見たとき、線が波打って見えたり、見えにくいところがある場合などは早急に眼科を受診してください。
新生血管を破壊したり、その発生を抑える治療が開発されていますが、進行状態によってはまだ決定的な治療法が確立されていません。予防には喫煙を控え、直射日光から目を守り、バランスのよい食事を取ることが重要だと考えられています。
いずれにしても、眼科専門医による定期的な検診で病気を早期に発見してもらい、適切な治療、アドバイスを受けることが大切といえるでしょう。
2006年10月9日 大阪日日新聞に掲載
目の病気の予防
中高年になると、目の機能が低下したり、様々な病気にかかりやすくなる。自覚症状のないまま進行し、失明する病気もある。定期的な検査で病気の予防や早期発見に務めるとともに、目が疲れにくい室内環境を整えたい。
目の中でカメラのレンズの役割をする水晶体は、年齢とともに硬くなり、近くのものにピントを合わせにくくなる。いわゆる老眼で、40代から始まる。日本眼科医会常任理事の杉浦寅男氏は「老眼は適切な眼鏡をかけることで対応できるが、緑内障などの病気であれば、失明につながることもあり、注意してほしい」という。
日本眼科医会によると、視覚に何らかの障害がある人は国内に推計164万人おり、60歳以上が72%を占める。視覚障害の原因として最も多いのは緑内障だ。眼圧が高くなるなどで視神経が圧迫され、少しずつ視野が欠けていく。患者は40歳以上の20人に1人の割合といわれる。
また、患者が増えているのは「加齢黄斑変性」という病気だ。網膜の中の黄斑と呼ばれる部分の老化現象によって、視野の中心がゆがんだり、黒く欠けたりして見えづらくなる。アメリカでは中途失明の原因として最も多く、日本でも食生活の欧米化などで、目立ってきた。格子や方眼紙を片目で見た時に、線が波打って見えるような場合は、できるだけ早く受診することが必要だ。予防には、(1)喫煙を控える)(2)屋外では紫外線をカットする眼鏡やサングラスをかける(3)ビタミンやミネラルを含む食品を積極的に取る――などが役立つ。
「自覚症状のないまま、進行する病気もあるので、年1回は眼科専門医で視神経や網膜の状態をみる眼底検査を受けて」と杉浦氏は話す。
目の病気に関する情報は、日本眼科医会が管理するホームページ「目の健康.jp」(http://www.menokenko.jp)が参考になる。また、電話での問い合わせに応じる「目の健康相談」(毎週木曜、午後3〜5時、03・5765・8181)も開設している。
2010年3月26日 読売新聞朝刊に掲載
杉浦眼科
大阪市東住吉区駒川3-1-7
TEL:06-6628-2881
近鉄南大阪線「今川」駅前